CD-ROM2ギア交換
今回は今までノーメンテでギアも固着したCD-ROM2の修理についてまとめてみようと思います。
グリスアップについては余り細かくブログに載せた事がないのと、
小出しに発信していた情報を一つにまとめようと思いました。
人それぞれやり方はあると思いますが、私はこうやっているという紹介です。
内容としては本体の分解、可動部のグリスアップ、ギア交換となっています。
因みにCD-ROM2は古いハードです。ですのでこの手順で修理したとしても
他の要因で正常に動かない場合も多々あること、ご了承ください。
==================================================
なお交換するギアについては以下で購入できます。
http://sellinglist.auctions.yahoo.co.jp/user/eshop_ohkuya?

このギアは東京下町の専門の成型業者による製作のため、
寸法精度が非常に良く、全く引っかかることなくスムーズに回ります。
エンプラ素材で耐久性も非常に良いです。
==================================================
目次
0章.修理対象CD-ROM2
1章.CD-ROM2の分解とギアの取り外し
2章.可動部へのグリスアップ
3章.ミドルギアの取り付け
4章.ピックアップの清掃と本体の組み立て
5章.CD-ROM2の動作確認
6章.補足事項
============
2016.01 初投稿
2016.02 ケーブルの挿抜について写真を追加
============
0章.修理対象CD-ROM2
0-1.修理対象CD-ROM2
今回の修理対象は CDR-30A、後期型と言われる CD-ROM2です。
個人的にはこの後期型のドライブが一番ミドルギアの問題を抱えている気がします。

1章.CD-ROM2の分解とギアの取り外し
この章ではCD-ROM2を分解し、破損した(する)ミドルギアを取り外すまでを説明します。
1-1.底面カバーの取り外し
まずは裏面からドライバーで4本のネジを外します。

1-2.基板の固定ネジの取り外し
基板を固定するネジ1本を外します。

1-3.ケーブルの取り外し
コネクタのロックを外しケーブルを抜きます。抜く際にロックが外れてないままケーブルを引き抜いてしまい
ケーブルを切断してしまうトラブルを耳にするので注意してください。

両サイドの爪からロックを外そうとすると両側のボリュームを触ってしまうため、
隙間にドライバーを入れ「こじる」ように少しずつロックを外していくと安心です。

これがロックが外れた状態です。ケーブルをつまんで少々左右に振ってみて
すんなりケーブルが外れればOK。引っ掛かりがある場合は
もう少々ロック部分を下に下げ完全にロックを外してください。

これでケーブルが取り外せました。

もう一本のケーブルも同様に行います。

同様にマイナスドライバーを入れてロックを外します。

これがロックが外れた状態です。先ほどと同様にケーブルをつまんで少々左右に振ってみて
すんなりケーブルが外れればOK。引っ掛かりがある場合は
もう少々ロック部分を下に下げ完全にロックを外してください。

※2本のケーブルとも共通に言えることですが、上の写真を見ると解るように
ロックを下方向に外すとロック部品と一緒にケーブルも下りてくるということ。
逆にケーブルを取り付ける時は、ケーブルをコネクタに差し込んだあと、
ケーブルとロック部品とを一緒に押し込んでロックする形になります。
これで中身を開くことが出来ました。

1-4.ギアのリング(止め輪)の取り外し
止め輪を外すには隙間にカッターの刃を入れると楽に取り外せます。

カッターの刃を入れ「こじる」ことで簡単に取れます。

1-5.ミドルギアの取り外し
ミドルギアが固着しているのでドライバーを入れて取り外します。

これでリング(止め輪)とギアが取り外せました。

ここから先は、可動部へのグリスアップになります。グリスアップはしないで
新しいギアを取り付けるなら3章に進んでください。
2章.可動部へのグリスアップ
この章では今までノーメンテのCD-ROM2にグリスアップする工程を説明します。
グリスアップの対象は赤色の枠部分であり、黄色い枠部分については記載していません。
理由は黄色い枠部分が固着していることはなく二十数年たっても非常にスムーズに動いていること、
それと黄色い枠部分を真面目に洗浄、グリスアップしようとすると結構手数が増えるためです。

2-1.センサーの取り外し
まずはセンサー部分を外します。単にネジで止まっているだけです。

2-2.金属の止め具(その1)の取り外し
スライドレールを取り外すためこの金属の止め具を取り外します。
単に部品がはまっているだけなのでラジオペンチなどでつまんで引き抜くだけです。

2-3.ピックアップユニットの取り外し
単に3本のネジで止まっているだけです。ドライバーで外してください。

ネジを外すとスペーサー?が入っているのでこれも取り出します。
なおこの部品はラジオペンチで内側からおさえるようにすると出し入れが楽です。

またスピンドルモータ側には黒いワッシャーもあるのでこれも外しておきましょう。

これでピックアップユニットを土台から取り外せました。

2-4.ピックアップユニットの天板の取り外し
天板は単に2本のネジと2個のツメで固定されています。ネジを外し、ツメを外せば良いです。
なお、この天板は曲がりやすいので取扱いには注意してください。天板が曲がると
CD-ROM媒体やピックアップと接触するようになるなど新たな問題が発生します。

2-5.金属の止め具(その2)の取り外し
スライドレールを止める金具(その2)です。単にネジで止まっているだけです。
ただこのネジは思ったより固いのでネジをなめてしまわないよう注意してください。
またネジを緩める際、隣のギアをドライバで傷をつけないように。

2-6.スライドレールの取り外しとグリスアップ
スライドレールを取り外す前にピックアップ側のネジを緩めます。
このネジを緩めることでスライドレール上のピックアップが自由に動くようになります。

赤丸部分のツメを外してスライドレールを右方向に引き抜きます。
尚ツメは裏側にもありますのでご注意を。

スライドレールが取り出せました。これから古いグリースを取り除きグリスアップします。

古いグリースを取り除く時は、ガソリンの水抜き剤(成分はイソプロピルアルコール)を
染み込ませたティッシュで包み、自分の爪を溝に食い込ませてスライドレールを
回転させることで溝の中の古いグリースを取り除いています。

私の場合、時間がない時はブレーキクリーナを使って古いグリースを一気に洗い流すこともあります。
これを使うと10秒もあれば古いグリースを飛ばすことができます(^^;

私が最近使っているグリスのはタミヤのセラミックグリスです。
単に口径が小さいから使っているだけで成分的に云々というようなこだわりはないです。
前はエーゼット社のホワイトグリースを使っていました。
以前ちょう度(粘性)の高い物を使えば静音性が高まるか?とか試してみた事がありましたが、
体感できるほどの違いは感じなかったのでどれも大して変わらないかな?という結論に至ってます。

とりあえず新しいグリスを塗り込みました。なお軸受けの白いパーツの穴にもグリスは必要です。

ピックアップ側も古いグリースを綿棒で取り除いておきます。

2-7.スライドレールの取り付け
ここからは逆の手順になります。まずはスライドレールの軸受けの白いパーツをはめ込み、

右側からスライドレールをはめ込みます。

そしてピックアップ側のネジを締めてスライドレールとピックアップを固定します。

この後、指でギアを回しピックアップを何度か往復させてグリスを馴染ませます。

2-8.金属の止め具(その2)の取り付け
スライドレールを止めている金属の止め具を取り付けます。

2-9.金属の止め具(その1)の取り付け
L字になっている金属の止め具を取り付けます。

これでスライドレールのグリスアップと取り付けが終わりました。お疲れ様でした。
3章.ミドルギアの取り付け
この章では新たなミドルギアを取り付けます。

3-1.ミドルギアのグリスアップと取り付け
まずはミドルギアにグリスを塗布します。穴の部分も忘れずに。

ミドルギアの両サイドのギアにもグリスアップしてユニットに組み込みます。

3-2.ミドルギアのリング(止め輪)の取りつけ
このリングの取り付けには、私は中空のパイプを使って取り付けています。
(ホームセンターでも売っているアルミのパイプを短く切断したものです)
精密ドライバーやラジオペンチでやろうとすると結構大変なので。
ミドルギアの軸にリングをひっかけて、パイプで押し込みます。

リングの全面から押し込むので一発でカチッとはまりました。

4章.ピックアップの清掃と本体の組み立て
ミドルギアの取り付けも終わったので後はピックアップを清掃して本体を組み立てます。
4-1.ピックアップレンズの清掃
イソプロピルアルコール(IPA)を浸した綿棒で優しくレンズを拭きます。
IPAは薬局でも手に入りますが、同じ成分のガソリンの水抜き剤を利用するのが安いし手に入りやすいです。

汚れが酷そうな時は黒いキャップを外しレンズの裏側やハーフミラー周りも。
かなり狭くデリケートな部分ですので無理はせず扱いは慎重に。慣れないうちは触らない方が良いかもしてません。

4-2.ピックアップユニットの天板の取り付け
ピックアップの清掃が終わったら天板をユニットに取り付けます。
天板を曲げないように注意してください。

4-3.ピックアップユニットの組み込み
取り外したときとは逆の手順でピックアップユニットを本体に組み込みます。
なお、写真のようにピックアップは一番外側の位置にしておくと良いです。
理由はCD-ROM2はRUNボタンを押した時、ピックアップが最内周に移動してから回転を始めるためです。
正常に動かない時の切り分けとして、ピックアップが移動していればピックアップは動くが回転出来ない、
もしピックアップも移動してなければピックアップの問題と切り分けが出来ます。

4-4.ケーブル、本体の組み立て
後は2本のケーブルを基板に差し込み、基板を固定、底板を取り付けて完成です。
1章を見ながら逆の手順で組み上げてください。
尚、前半部分でも記載しましたが2本のケーブルを取り付ける際、ケーブルを指し込んだ後、
ロックをかける際には一緒にケーブルも押し込むようにしてください。

きちんとケーブルが取り付けられた時の写真を載せますので参考にしてください。
(ケーブルが奥まで刺さってないとケーブルの端子が見えたりします)


これで完成です。

5章.CD-ROM2の動作確認
ここではミドルギアを交換したCD-ROM2がきちんと正常にシークするかを確認します。
なお冒頭でもお伝えしたように、ミドルギアの交換やグリスアップはピックアップをシークさせる
メカ部分を修理しているだけです。全てのCD-ROM2がギアの交換で昔と同様に
動く訳ではありません。経年劣化により他の要因で正常に動かない場合も多々あります。
場合によっては可変ボリュームの調整が必要だったりコンデンサの交換が必要だったり、
はんだ割れがあれば補修したりとギア以外の修理が必要になります。

5-1.システム内蔵のCDプレイヤー機能を用いた動作確認
曲数が多い音楽CDを準備してください。ひたすらトラック移動&再生を繰り返すことで、
毎回きちんとデータの読み出しができるかを確認します。
ミドルギアの検査というよりは、総合的なピックアップの読み取り精度を確認する意味合いが
強いですが、組み込んだばかりの新しいミドルギアはある程度動かさないと動作が安定しないので
ミドルギアの慣らし運転のような意味も含んでいます。
なおこれから紹介する方法はドライブに結構負荷をかけるので長時間行うのはお勧めしません。
ランダム再生を繰り返すなら1.5時間程度、最外周と最内周での再生を繰り返すファネルシークの場合は
20分程度にしないと発熱で熱ダレして正常に動かなくなってきます。
場合によってはドライブを壊す可能性もあるので時間を決めるなどして行ってください。
まずは音楽CDをセットしてCDプレイヤー画面を起動します。

「REPEAT」、「RANDOM]をクリックします。
これで音楽CDの各トラックを繰り返しランダム再生することができます。

この状態だと1トラックすべてを再生してしまうので「INTRO」を使って
1トラックの再生時間を短くします。「INTRO」ボタンを押すとテンキーが
出てきますので再生したい秒数を入力しIIボタンでテンキーを閉じてください。
※画面では再生時間を5秒に設定しています。

これで準備ができました。
・ランダム再生
・繰り返し再生
・各トラックの再生時間は5秒
「PLAY」を押して再生してみてください。

うまく思うようにランダム再生できたでしょうか。
TV画面とPCエンジンの動きをずっと見ていれば・・もしおかしな挙動、
例えば前半トラックの再生に手間取っているとか、色々気づいたりできます。
ミドルギアの確認だけならば、ギアが噛んでしまいシークが止まることがなければ良いかと。
ピックアップの読み取り精度まで確認するなら、シーク時にピックアップの位置決めが1回で決まるとか。
(この辺りは6章で補足します)
因みに以下のように「RANDOM」でなく「MEMORY」を使って
先頭トラックと最終トラックを登録すれば先頭と最終を行ったり来たり(ファネルシーク)ということも可能です。

もうちょっと手を広げるならば自前のWAVEファイルとCUEシートで
自作の音楽CDを用意するのも手です。
(1)700MBのCD-Rに80分ギリギリまで曲を詰め込む
(2)トラック数も最大の99曲までいれる
(3)最終トラックの長さは10秒程度
こうすれば(1)、(3)で最内周~再外周までピックアップを動かすことが可能ですし、
ランダム再生時は(2)によってより多くのピックアップの位置でリードの確認が出来たりします。
あと、ピックアップにあまり高負荷をかけたくないなら、「INTRO」で指定する再生時間を長くすることで
休み休みシークさせることも可能です。うまく工夫しながらやってみて下さい。
6章.補足事項
6-1.ミドルギアの交換直後
交換した直後のギアは若干ですがリードエラーが発生します。
300~400回程度シークすると噛み合わせが馴染んで動きが落ち着いてくる傾向があります。
6-2.ミドルギアの静音性について
どの複製品にも言えますがオリジナルギアに比べるとシーク音は大き目です。
オリジナルギアの場合、耐久性と引き換えに柔らかい素材を使って静音性を高めているよう見えます。
(これは私個人が勝手に思っていることです)
素材を変えればもう少々静音性を追及できるのかも知れませんが、
素材を変えると収縮率も変わり場合によっては金型も作り直しになるため、素材の見直しは簡単には行きません。
成形でなく切削加工なら素材の検討も出来そうですが・・・・それなりに資金も必要(^^;
現状、出回っているギアは耐久性のある汎用的な素材を使われているのが多く、
その分静音性は犠牲になっているという状況でしょうか。
実際のところ、静音性については素材以外にギアの形状の話とかもあるんですけどね。
6-3.ピックアップの読み取り精度について
CD-ROM2の場合、最内周~最外周の移動は約3秒。
特定のトラックを読み出すまで何度もシークする場合は、
読み取り精度が悪いため、止まるべき場所を通り越してオーバーランしている状況です。
→5つの可変ボリュームの調整で読み取り精度を改善できる場合もあります。
もしボリューム調整でも状況が変わらないなら、基板のハンダ割れやコンデンサなどを疑ってください。
6-4.ミドルギアを止めるリングについて
ミドルギア、あと両サイドのギアの形状がしっかりしていれば
リングは取り付けなくてもミドルギアはそう簡単には外れません。
逆にポーランドの平ギアを加工する場合、加工精度が悪いとリングをつけないと簡単にギアが外れたりします。
以上、長くなりましたがミドルギアの交換手順でした。
もしこの記事が参考になったなら拍手をお願いします
グリスアップについては余り細かくブログに載せた事がないのと、
小出しに発信していた情報を一つにまとめようと思いました。
人それぞれやり方はあると思いますが、私はこうやっているという紹介です。
内容としては本体の分解、可動部のグリスアップ、ギア交換となっています。
因みにCD-ROM2は古いハードです。ですのでこの手順で修理したとしても
他の要因で正常に動かない場合も多々あること、ご了承ください。
==================================================
なお交換するギアについては以下で購入できます。
http://sellinglist.auctions.yahoo.co.jp/user/eshop_ohkuya?

このギアは東京下町の専門の成型業者による製作のため、
寸法精度が非常に良く、全く引っかかることなくスムーズに回ります。
エンプラ素材で耐久性も非常に良いです。
==================================================
目次
0章.修理対象CD-ROM2
1章.CD-ROM2の分解とギアの取り外し
2章.可動部へのグリスアップ
3章.ミドルギアの取り付け
4章.ピックアップの清掃と本体の組み立て
5章.CD-ROM2の動作確認
6章.補足事項
============
2016.01 初投稿
2016.02 ケーブルの挿抜について写真を追加
============
0章.修理対象CD-ROM2
0-1.修理対象CD-ROM2
今回の修理対象は CDR-30A、後期型と言われる CD-ROM2です。
個人的にはこの後期型のドライブが一番ミドルギアの問題を抱えている気がします。

1章.CD-ROM2の分解とギアの取り外し
この章ではCD-ROM2を分解し、破損した(する)ミドルギアを取り外すまでを説明します。
1-1.底面カバーの取り外し
まずは裏面からドライバーで4本のネジを外します。

1-2.基板の固定ネジの取り外し
基板を固定するネジ1本を外します。

1-3.ケーブルの取り外し
コネクタのロックを外しケーブルを抜きます。抜く際にロックが外れてないままケーブルを引き抜いてしまい
ケーブルを切断してしまうトラブルを耳にするので注意してください。

両サイドの爪からロックを外そうとすると両側のボリュームを触ってしまうため、
隙間にドライバーを入れ「こじる」ように少しずつロックを外していくと安心です。

これがロックが外れた状態です。ケーブルをつまんで少々左右に振ってみて
すんなりケーブルが外れればOK。引っ掛かりがある場合は
もう少々ロック部分を下に下げ完全にロックを外してください。

これでケーブルが取り外せました。

もう一本のケーブルも同様に行います。

同様にマイナスドライバーを入れてロックを外します。

これがロックが外れた状態です。先ほどと同様にケーブルをつまんで少々左右に振ってみて
すんなりケーブルが外れればOK。引っ掛かりがある場合は
もう少々ロック部分を下に下げ完全にロックを外してください。

※2本のケーブルとも共通に言えることですが、上の写真を見ると解るように
ロックを下方向に外すとロック部品と一緒にケーブルも下りてくるということ。
逆にケーブルを取り付ける時は、ケーブルをコネクタに差し込んだあと、
ケーブルとロック部品とを一緒に押し込んでロックする形になります。
これで中身を開くことが出来ました。

1-4.ギアのリング(止め輪)の取り外し
止め輪を外すには隙間にカッターの刃を入れると楽に取り外せます。

カッターの刃を入れ「こじる」ことで簡単に取れます。

1-5.ミドルギアの取り外し
ミドルギアが固着しているのでドライバーを入れて取り外します。

これでリング(止め輪)とギアが取り外せました。

ここから先は、可動部へのグリスアップになります。グリスアップはしないで
新しいギアを取り付けるなら3章に進んでください。
2章.可動部へのグリスアップ
この章では今までノーメンテのCD-ROM2にグリスアップする工程を説明します。
グリスアップの対象は赤色の枠部分であり、黄色い枠部分については記載していません。
理由は黄色い枠部分が固着していることはなく二十数年たっても非常にスムーズに動いていること、
それと黄色い枠部分を真面目に洗浄、グリスアップしようとすると結構手数が増えるためです。

2-1.センサーの取り外し
まずはセンサー部分を外します。単にネジで止まっているだけです。

2-2.金属の止め具(その1)の取り外し
スライドレールを取り外すためこの金属の止め具を取り外します。
単に部品がはまっているだけなのでラジオペンチなどでつまんで引き抜くだけです。

2-3.ピックアップユニットの取り外し
単に3本のネジで止まっているだけです。ドライバーで外してください。

ネジを外すとスペーサー?が入っているのでこれも取り出します。
なおこの部品はラジオペンチで内側からおさえるようにすると出し入れが楽です。

またスピンドルモータ側には黒いワッシャーもあるのでこれも外しておきましょう。

これでピックアップユニットを土台から取り外せました。

2-4.ピックアップユニットの天板の取り外し
天板は単に2本のネジと2個のツメで固定されています。ネジを外し、ツメを外せば良いです。
なお、この天板は曲がりやすいので取扱いには注意してください。天板が曲がると
CD-ROM媒体やピックアップと接触するようになるなど新たな問題が発生します。

2-5.金属の止め具(その2)の取り外し
スライドレールを止める金具(その2)です。単にネジで止まっているだけです。
ただこのネジは思ったより固いのでネジをなめてしまわないよう注意してください。
またネジを緩める際、隣のギアをドライバで傷をつけないように。

2-6.スライドレールの取り外しとグリスアップ
スライドレールを取り外す前にピックアップ側のネジを緩めます。
このネジを緩めることでスライドレール上のピックアップが自由に動くようになります。

赤丸部分のツメを外してスライドレールを右方向に引き抜きます。
尚ツメは裏側にもありますのでご注意を。

スライドレールが取り出せました。これから古いグリースを取り除きグリスアップします。

古いグリースを取り除く時は、ガソリンの水抜き剤(成分はイソプロピルアルコール)を
染み込ませたティッシュで包み、自分の爪を溝に食い込ませてスライドレールを
回転させることで溝の中の古いグリースを取り除いています。

私の場合、時間がない時はブレーキクリーナを使って古いグリースを一気に洗い流すこともあります。
これを使うと10秒もあれば古いグリースを飛ばすことができます(^^;

私が最近使っているグリスのはタミヤのセラミックグリスです。
単に口径が小さいから使っているだけで成分的に云々というようなこだわりはないです。
前はエーゼット社のホワイトグリースを使っていました。
以前ちょう度(粘性)の高い物を使えば静音性が高まるか?とか試してみた事がありましたが、
体感できるほどの違いは感じなかったのでどれも大して変わらないかな?という結論に至ってます。

とりあえず新しいグリスを塗り込みました。なお軸受けの白いパーツの穴にもグリスは必要です。

ピックアップ側も古いグリースを綿棒で取り除いておきます。

2-7.スライドレールの取り付け
ここからは逆の手順になります。まずはスライドレールの軸受けの白いパーツをはめ込み、

右側からスライドレールをはめ込みます。

そしてピックアップ側のネジを締めてスライドレールとピックアップを固定します。

この後、指でギアを回しピックアップを何度か往復させてグリスを馴染ませます。

2-8.金属の止め具(その2)の取り付け
スライドレールを止めている金属の止め具を取り付けます。

2-9.金属の止め具(その1)の取り付け
L字になっている金属の止め具を取り付けます。

これでスライドレールのグリスアップと取り付けが終わりました。お疲れ様でした。
3章.ミドルギアの取り付け
この章では新たなミドルギアを取り付けます。

3-1.ミドルギアのグリスアップと取り付け
まずはミドルギアにグリスを塗布します。穴の部分も忘れずに。

ミドルギアの両サイドのギアにもグリスアップしてユニットに組み込みます。

3-2.ミドルギアのリング(止め輪)の取りつけ
このリングの取り付けには、私は中空のパイプを使って取り付けています。
(ホームセンターでも売っているアルミのパイプを短く切断したものです)
精密ドライバーやラジオペンチでやろうとすると結構大変なので。
ミドルギアの軸にリングをひっかけて、パイプで押し込みます。

リングの全面から押し込むので一発でカチッとはまりました。

4章.ピックアップの清掃と本体の組み立て
ミドルギアの取り付けも終わったので後はピックアップを清掃して本体を組み立てます。
4-1.ピックアップレンズの清掃
イソプロピルアルコール(IPA)を浸した綿棒で優しくレンズを拭きます。
IPAは薬局でも手に入りますが、同じ成分のガソリンの水抜き剤を利用するのが安いし手に入りやすいです。

汚れが酷そうな時は黒いキャップを外しレンズの裏側やハーフミラー周りも。
かなり狭くデリケートな部分ですので無理はせず扱いは慎重に。慣れないうちは触らない方が良いかもしてません。

4-2.ピックアップユニットの天板の取り付け
ピックアップの清掃が終わったら天板をユニットに取り付けます。
天板を曲げないように注意してください。

4-3.ピックアップユニットの組み込み
取り外したときとは逆の手順でピックアップユニットを本体に組み込みます。
なお、写真のようにピックアップは一番外側の位置にしておくと良いです。
理由はCD-ROM2はRUNボタンを押した時、ピックアップが最内周に移動してから回転を始めるためです。
正常に動かない時の切り分けとして、ピックアップが移動していればピックアップは動くが回転出来ない、
もしピックアップも移動してなければピックアップの問題と切り分けが出来ます。

4-4.ケーブル、本体の組み立て
後は2本のケーブルを基板に差し込み、基板を固定、底板を取り付けて完成です。
1章を見ながら逆の手順で組み上げてください。
尚、前半部分でも記載しましたが2本のケーブルを取り付ける際、ケーブルを指し込んだ後、
ロックをかける際には一緒にケーブルも押し込むようにしてください。

きちんとケーブルが取り付けられた時の写真を載せますので参考にしてください。
(ケーブルが奥まで刺さってないとケーブルの端子が見えたりします)


これで完成です。

5章.CD-ROM2の動作確認
ここではミドルギアを交換したCD-ROM2がきちんと正常にシークするかを確認します。
なお冒頭でもお伝えしたように、ミドルギアの交換やグリスアップはピックアップをシークさせる
メカ部分を修理しているだけです。全てのCD-ROM2がギアの交換で昔と同様に
動く訳ではありません。経年劣化により他の要因で正常に動かない場合も多々あります。
場合によっては可変ボリュームの調整が必要だったりコンデンサの交換が必要だったり、
はんだ割れがあれば補修したりとギア以外の修理が必要になります。

5-1.システム内蔵のCDプレイヤー機能を用いた動作確認
曲数が多い音楽CDを準備してください。ひたすらトラック移動&再生を繰り返すことで、
毎回きちんとデータの読み出しができるかを確認します。
ミドルギアの検査というよりは、総合的なピックアップの読み取り精度を確認する意味合いが
強いですが、組み込んだばかりの新しいミドルギアはある程度動かさないと動作が安定しないので
ミドルギアの慣らし運転のような意味も含んでいます。
なおこれから紹介する方法はドライブに結構負荷をかけるので長時間行うのはお勧めしません。
ランダム再生を繰り返すなら1.5時間程度、最外周と最内周での再生を繰り返すファネルシークの場合は
20分程度にしないと発熱で熱ダレして正常に動かなくなってきます。
場合によってはドライブを壊す可能性もあるので時間を決めるなどして行ってください。
まずは音楽CDをセットしてCDプレイヤー画面を起動します。

「REPEAT」、「RANDOM]をクリックします。
これで音楽CDの各トラックを繰り返しランダム再生することができます。

この状態だと1トラックすべてを再生してしまうので「INTRO」を使って
1トラックの再生時間を短くします。「INTRO」ボタンを押すとテンキーが
出てきますので再生したい秒数を入力しIIボタンでテンキーを閉じてください。
※画面では再生時間を5秒に設定しています。

これで準備ができました。
・ランダム再生
・繰り返し再生
・各トラックの再生時間は5秒
「PLAY」を押して再生してみてください。

うまく思うようにランダム再生できたでしょうか。
TV画面とPCエンジンの動きをずっと見ていれば・・もしおかしな挙動、
例えば前半トラックの再生に手間取っているとか、色々気づいたりできます。
ミドルギアの確認だけならば、ギアが噛んでしまいシークが止まることがなければ良いかと。
ピックアップの読み取り精度まで確認するなら、シーク時にピックアップの位置決めが1回で決まるとか。
(この辺りは6章で補足します)
因みに以下のように「RANDOM」でなく「MEMORY」を使って
先頭トラックと最終トラックを登録すれば先頭と最終を行ったり来たり(ファネルシーク)ということも可能です。

もうちょっと手を広げるならば自前のWAVEファイルとCUEシートで
自作の音楽CDを用意するのも手です。
(1)700MBのCD-Rに80分ギリギリまで曲を詰め込む
(2)トラック数も最大の99曲までいれる
(3)最終トラックの長さは10秒程度
こうすれば(1)、(3)で最内周~再外周までピックアップを動かすことが可能ですし、
ランダム再生時は(2)によってより多くのピックアップの位置でリードの確認が出来たりします。
あと、ピックアップにあまり高負荷をかけたくないなら、「INTRO」で指定する再生時間を長くすることで
休み休みシークさせることも可能です。うまく工夫しながらやってみて下さい。
6章.補足事項
6-1.ミドルギアの交換直後
交換した直後のギアは若干ですがリードエラーが発生します。
300~400回程度シークすると噛み合わせが馴染んで動きが落ち着いてくる傾向があります。
6-2.ミドルギアの静音性について
どの複製品にも言えますがオリジナルギアに比べるとシーク音は大き目です。
オリジナルギアの場合、耐久性と引き換えに柔らかい素材を使って静音性を高めているよう見えます。
(これは私個人が勝手に思っていることです)
素材を変えればもう少々静音性を追及できるのかも知れませんが、
素材を変えると収縮率も変わり場合によっては金型も作り直しになるため、素材の見直しは簡単には行きません。
成形でなく切削加工なら素材の検討も出来そうですが・・・・それなりに資金も必要(^^;
現状、出回っているギアは耐久性のある汎用的な素材を使われているのが多く、
その分静音性は犠牲になっているという状況でしょうか。
実際のところ、静音性については素材以外にギアの形状の話とかもあるんですけどね。
6-3.ピックアップの読み取り精度について
CD-ROM2の場合、最内周~最外周の移動は約3秒。
特定のトラックを読み出すまで何度もシークする場合は、
読み取り精度が悪いため、止まるべき場所を通り越してオーバーランしている状況です。
→5つの可変ボリュームの調整で読み取り精度を改善できる場合もあります。
もしボリューム調整でも状況が変わらないなら、基板のハンダ割れやコンデンサなどを疑ってください。
6-4.ミドルギアを止めるリングについて
ミドルギア、あと両サイドのギアの形状がしっかりしていれば
リングは取り付けなくてもミドルギアはそう簡単には外れません。
逆にポーランドの平ギアを加工する場合、加工精度が悪いとリングをつけないと簡単にギアが外れたりします。
以上、長くなりましたがミドルギアの交換手順でした。
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